September 26, 2007

music diary october~book 小柳さんからのコメント

 本日より発売になった『music diary october~book』の選曲者である小柳帝さんから、選曲についてコメントをいただきました。

dimanche web shopでも取扱いをスタートしました。

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〈ブック〉というテーマを聞いたとき、ボクが真っ先に思い浮かべたイメージは、ウィークエンドの「The View from Her Room」という12"シングルのジャケットにも使われた、1950年代のパリの女子学生が階段に腰を下ろしている姿を捉えた、アンドレ・モロワの『パリの女』というフォトエッセイの中の1枚の写真でした。また一方で、このCDのジャケットに使われるポラは、アメリカ西海岸の大学町バークレーの、ある古本屋の軒先を撮ったものになるということでした。そこで、ボクは、50年代というよりも、いろんな意味で魅力的な1960年代のパリとバークレーの、本の似合う学生街のカフェで鳴っていたかもしれない音楽というコンセプトで選曲してみようと思い立ったのでした。
秋らしくしっとりと、映画音楽的な雰囲気も意識しながら。
前半は、フレンチを中心に選んでみました。ご存知、ジェーン・バーキン、ジャンヌ・モロー、アンナ・カリーナといった歌う女優から、ソフィー・ドーミエやイザベル・オーブレのレア・トラックにいたるまで。因みに、アンナ・カリーナの「アンジェラの歌」(『女は女である』の挿入歌)と、続くソフィー・ドーミエの「ジュ・パンス・ドンク・ジェスュイ」は、どちらもミシェル・ルグランの作です。
中盤からは、英米圏の楽曲が中心になります。バート・バカラック、ロジャー・ニコルズ、ニック・デカロなどのA&M系ソフトロックの名曲から、ノエル・ハリソンや、コリン・ブランストーンの変名ニール・マッカーサーのソフロ・ボッサは、マニアの方にも喜んで頂けるかもしれません。バカラックの「自由への道」は、『明日に向かって撃て』、ニック・デカロの「夕なぎの慕情」は、カヴァーですが、『大人になれば』からと、ニューシネマ系の映画音楽も意識しました。締めのクロディーヌ・ロンジェは、彼女も出演した『パーティ』の挿入歌(マンシーニ作)です。フレンチとアメリカの出会いが、ここにあります。



11:19:13 | cvdois | | TrackBacks